新书:広中一成『後期日中戦争:太平洋戦争下の中国戦線』
作者:広中 一成(著/文)
出版社:KADOKAWA
出版时间:2021年4月10日
定価: 920円+税
ISBN:978-4-04-082366-9
真珠湾攻撃の裏で起きていた、敗北。
41年12月以降、中国戦線では何が起きていたのか?
気鋭の中国史研究者が空白の戦史を埋める!
日本人は、日中戦争を未だ知らない。
しかし、41年12月の太平洋戦争開戦後、中国戦線で日本軍がどのような作戦を展開していたのかは、対米戦の陰に隠れ、意外な程に知られていない。
主要作戦に従軍し続けた名古屋第三師団の軌跡から、泥沼の戦いとなった中国戦線の実像を描く! 新たな日中戦争史。
■1941年12月~42年1月、手痛い敗北を喫した第二次長沙作戦
■731部隊の細菌戦となった戦場、浙カン作戦
■一方的な勝利となった江南殲滅作戦。その中で起きたもう一つの虐殺・廠窖事件の実相
■毒ガス戦と中国版スターリングラード攻防戦となった常徳殲滅作戦
■補給なき泥沼の戦いとなった一号作戦(大陸打通作戦)
中国戦線は太平洋戦争に引きずり込まれていた!
広中 一成 (ヒロナカ イッセイ)
1978年、愛知県生まれ。2012年、愛知大学大学院中国研究科博士後期課程修了。博士(中国研究)。現在は愛知大学非常勤講師。専門は中国近現代史、日中戦争史、中国傀儡政権史。戦争体験者へのオーラルヒストリーも独自に行っている。著書に『傀儡政権』(角川新書)、『通州事件 日中戦争泥沼化への道』『牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか』(星海社新書)、『ニセチャイナ 中国傀儡政権 満洲・蒙疆・冀東・臨時・維新・南京』(社会評論社)などがある。
はじめに
第一章 最初の敗北――第二次長沙作戦
第一節 因縁の長沙
「湖広熟すれば、天下足る」/阿南と豊島は長沙進攻に燃えていた/第二次長沙作戦VS天炉戦法
第二節 日中両軍の作戦部隊の戦力比較
兵力は前回の三分の二から半分、火器も難あり/第九戦区の戦力と作戦計画
第三節「天炉」の中へ
悪天候に襲われる(一二月二四日~二五日)/極寒の汨水を渡る(二六日~二八日)/天炉戦法の核心
第四節 長沙攻略戦
長沙進攻を決断する/精神至上主義の阿南/長沙に迫る(二九日~三一日)
第五節 長沙突入と敗走
歩兵第一八聯隊の突撃と第一〇軍の抵抗/長沙からの「反転」を決断/決死の「反転」/「負け戦」の責任は誰にあるのか
第二章 細菌戦の戦場――浙カン作戦
第一節 大本営のプライドをかけた戦い
七三一部隊による細菌戦と第三師団/ドーリットル空襲を受ける/日中両軍の作戦方針/黄梅天/ウジ虫、赤痢、酷暑が襲う
第二節 敵味方を苦しめた細菌戦
ペスト菌に感染させたノミを投下する/臨川反転作戦/細菌をばら撒いて退く/浙カン作戦での毒ガス戦
第三章 暴虐の戦場――江南殲滅作戦と廠窖事件
第一節 殲滅作戦
五号作戦の中止と塚田司令官の死/江南作戦の目的と日中両軍の戦力状況/「誰も降服してこなかった」
第二節 「太平洋戦争期で最大の虐殺」はあったか
廠窖事件/占領下の小さな集落/廠窖の住民を次々と殺害――余梅桃の証言/軍刀が 首を貫通――劉雪和の証言/招き入れた日本軍に襲われる――劉菊甫の証言/柳の枝に吊るして惨殺――廖翠槐の証言/本当に三万人も殺害されたのか/江南作戦は一方的な勝利となった
第四章 毒ガス戦の前線――常徳殲滅作戦
第一節 明確な戦略なき作戦
アメリカに圧倒される太平洋戦線/やむをえず認めた作戦/日中両軍の戦力状況
第二節 第六戦区主力との戦い
初年兵が体験した戦場の現実/阿南惟幾次男、戦死す/常徳城攻略戦と中畑聯隊長の死/味方の放った毒ガスを浴びる
第三節 常徳城の占領
簗場部隊も毒ガス弾を使用した/中国版スターリングラード攻防戦
第五章 補給なき泥沼の戦い――一号作戦(大陸打通作戦)
第一節 一号作戦
中畑聯隊長の死を悼む/支那派遣軍隷下師団の南方転用問題/新竹空襲は衝撃を与え た/大陸縦貫鉄道作戦/一号作戦の目的は変更された/一号作戦計画とインパール作戦との共通性
第二節 湘桂作戦
進攻開始/瀏陽攻略/現地調達で奪われていく食料/戦線拡大による限界点/インパ ール作戦の轍を踏まない/八路軍の南下/柳州の戦い
おわりに
参考文献一覧